舞台「90ミニッツ」

三谷幸喜生誕50周年を記念した作品のトリとなる舞台、
「90ミニッツ」を見てきました。


「笑の大学」でも共演した西村雅彦さんと近藤芳正さんによる、
ガチな2人芝居。


作・演出:三谷幸喜
出演:西村雅彦、近藤芳正
 



以降、ネタバレも含みますのでご注意を。






とある6歳の少年がバイクにはねられ、病院に搬送されてくる。

手術を受ければ、確実に命は助かる。


しかし、事故の連絡を聞き、病院に駆けつけた父親(近藤芳正)
は、頑として承諾書にサインしない。

手術を行うなら、輸血をしないでくれと言い出す。
そうでなければサインしないと。


患者が未成年なため、親による承諾書へのサインがなければ、
手術は行えない。

形成外科の副部長である医師(西村雅彦)は、必死に父親の
説得を試みる。


少年の命のタイムリミットは、90分……




宗教上と言うか、地域による風習と言うか、
あるんですね、自分の体に他人の肉を入れることを拒絶する、
という人たちが。

肉体が滅んでも、魂は死なずに、また生まれ変わる。
つまりは、輪廻転生。

しかし、戒律を破って、肉を食したり、輸血を行えば、
魂は死に、生まれ変わることができない。

だから、どうしても、輸血しないで欲しいと訴える父親。


しかし、バイクにひかれた少年は、出血多量で、
輸血なしには救うことはできない。


そのため、医師は、あの手この手を使って、
父親を説得するも、ああ言えばこう言う、屁理屈のこねあい。


輸血をして命が助かっても、周りの者から後ろ指を差される、
何より、本人が、輸血をして生き永らえてしまったという、
心の傷を負うと主張する父親。


最後の最後には、父親は手術をして息子を助けてくれ、
と懇願する。
ただし、承諾書にはサインしないと、それだけは拒否する。


承諾書なしに手術を強行すれば、戒律に厳しい妻は、
必ず、病院側を訴えようとするに違いない。

しかも、妻へ全く頭が上がらない父親は、
自分が手術して欲しいと願ったことを証言しないとまで。



副部長である医師は、近々、昇進がほぼ内定していた。

しかし、ここで患者側から訴えられるようなことがあれば、
それは帳消し。

かといって、承諾書なしに手術をさせれば、それはそれで、
問題が問われてしまう。




やがて、少年は腎不全になり、自立呼吸できなくなり、


最後には、危篤状態に。



舞台が始まってからずっと、舞台の前で、
蛇口の栓を細くひねったような水(砂ではないと思う)が、
絶えず流れ落ちているのだが、

危篤状態になった途端、それがピタリと止まる。

つまり、その細い糸の様な水の流れは、
少年のか細く途切れかけようとしていた命。



危篤状態になってから、数秒。

長いような短いような、そんな数秒後、


医師は、オペ室に、承諾書なしの手術を指示する。

失うものは多い。
しかし、何よりも、救える命を見捨てることを、
医師としての良心が、許せなかったから。



やがて、止まっていた細い水が、また再び流れ出す。

少年の命が、再び、動き出した証。



父親は医師に礼を言うも、表情は硬い。


もしも、医師がオペ室に電話をするのが、
あと3秒遅れていれば、
自分は、承諾書にサインをしていたと。

その3秒分、父親として息子を助けたいという思いが、
医師の良心に負けたのだと。

そして、これから一生、そのことを後悔し続けるだろう、と。






そんなわけで、勢いあまって、
ほとんどあらすじを書いちゃってますが。(^^;


やーもう、お2人の掛け合いが、素晴らしかった。


てかもう、こんなめんどくさいこと言い出すんなら、

「はいそうですか、それじゃ、あんたの息子さん
助けませんから。死にますから」

とか突き放してみれば、どうだったんだろう。

そんで、どんどん衰弱していく様子を、
まざまざと見せ付けられれば、
自分から承諾書にサインしてたんじゃなかろうか?

なんて思うけど、それじゃ、話が成り立たないからね。(^^;



今年1発目の観劇がこの作品で、本当に良かった!
と思えるくらい良作でしたー。



2012.1.19/大阪:シアタードラマシティにて観劇

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